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喪失体験をかかえる子どものグリーフケア

レインボウプログラム

パン作り体験

レインボウプログラム(RB)は死別・離婚など家族の変化や、虐待・災害などによる喪失体験で傷ついた子どもや大人の心のケアをするための「ピア(仲間)サポート・プログラム」です。大切な人やものを喪失する辛さは、誰にもおこる自然な感情ですが、辛い体験を受け容れるにはその気持ちを信頼できる人と分かち合うことが必要です。

レインボウは同じような体験をした子どもたちが、悩みを一人で抱え込まないで仲間と共に、ファシリテーターによって安全を保障された場で、喪失にともなう悲嘆の感情を安心して表現し、分かち合い、こころを癒し、自信と勇気をもって、新しく生きていく力を育んでいきます。

プログラムの沿革
認定ファシリテーターまでの流れ
テキスト紹介
プログラムの目的
参加者の感想

プログラムの沿革

レインボウプログラムは1983年、シカゴでスージー.Y.マルタが創設した国際的非営利組織Rainbows For All Children.Inc.によって制作されました。幼児から大人まで、年齢段階と喪失内容に対応したさまざまなカリキュラムをもつ総合的なプログラムです。

あなたは特別、たった一人しかいないあなた

あなたの笑顔、あなたの中にある愛、それはあなただけのもの

よろこぼう、あなたがあなたであることを…

これは、レインボウのテキスト(ジャーナル)の冒頭のフレーズです。私たちは1992年、カナダの旅で訪れた子どもセンターでこの本と出会いました。このセンターの子どもたちは親の離婚や虐待などによって情緒や行動上に医学的、発達的な問題を抱えた子どもたちです。レインボウは辛い喪失体験をかかえる幼い子どもたちの心に、家族にどんな変化が起こっても、あなたはだいじな存在。これまでと同じ「特別な人」なんだ…と、語りかけています。私たちはレインボウの深く温かいメッセージに魅かれ日本の子どもたちにとどけたいと考えました。

 

レインボウ・ジャパンの歩み

1995年 アメリカ・デンヴァーにおける「ディレクター・トレーニング」にて公認ディレクター資格を取得、日本で初めてのファシリテーター養成を行う。同時にRP研究会を発足、翻訳・研究活動に取り組む

1996年 「子どものよき相談・援助者のあり方を考える会」を設立。現任保育関係者を対象にセミナーを開催し、レインボウの精神や、ファシリテーションの技法などを伝える啓蒙活動を開始

2000年 児童養護施設の小中学生を対象にRPの実践を開始

2000年 「社会福祉医療事業団子育て支援基金」および「横浜市女性協会市民活動支援事業」の助成を受け、RPの創設者スージー.Y.マルタを日本に招聘し、講演会・ワークショップ・専門者会議などを開催(9月)。同年、当センターがRP日本支部を受託

2006年 RPの特別バージョンとして児童養護施設専用の「プチ里親レインボウ」を開設

2011年 東日本大震災後、コミュニティ危機対応プログラム「シルバーライニング」を被災地の子どもたちに実施(至2015年) (詳細は「シルバーライニング」欄をご覧ください。)

2012年 RPファシリテーター&コーディネーター養成講座を一般講座として開講

2015年 RPファシリテーターの会を発足

 

レインボウ創設から30年、家族に起こる喪失に苦しむ子どもたちへの支援活動に専念してこられたスージーさんは2013年1月、創立30周年記念祭を前に永眠されました。心からの哀悼の意を表します。

 

 

プログラムの目的

 

すべての子どもは、かけがえのない個性をもって生まれてきます。その子どもたちが伸びやかに育つために必要なものは、一人ひとりが大切にされ自分自身への信頼感や、自尊感情をもてる安心な環境です。安心の拠りどころを喪失すると子どもの心は揺らぎ不安定になってしまいます。このような喪失体験が、心の成長期にある子どもたちの将来に長く影響をもたらすことがないように心のケアが必要なのです。

レインボウの目的

子どもたちが喪失を癒し、新しい変化を受け容れ、自尊感情を高めて 自らの力で前向きに生きる姿勢を身につけることです。 

そして、「現在」の心のケアとともに、「将来」さまざまな心や行動の問題を引き起こすことがないように予防することです。

 

 *守られた環境のもとで、仲間と共に喪失体験にともなう感情を表す

 *喪失体験について年齢に相応しい理解をする

 *感情の適切な表現のしかたを学ぶ

 *グループ体験を通して、子ども自身のもつ力を自覚できるようにする

 *仲間意識、帰属意識を深める

                                                            

 

 

(シングル・シンフォニー スージー著より)

待される効果

レインボウプログラムは、喪失体験をかかえる子どもたちに関する心理学や精神医学などの理論に基づき、悲嘆のプロセスにそって構成されています。ファシリテーター(専門家でも専門家以外でも)は、しっかりした枠組みのもとで、子どもたちがそれぞれの歩み方で喪失を癒し、自分たちの人生の立て直しをするサポートをしていきます。したがって、カウンセリングやセラピーではありませんが結果的に、同じような心理援助的な効果があらわれやすいといえるでしょう。

 

*同じ体験をもつ仲間たちとの実践を通して、自分の感情に気づき正しくコントールする力を養う

*自己不全感や劣等感から立ち直り、自尊心や自己肯定感、人間関係能力、自立する力など健康に生きる力を養う

*被虐待児が思春期になり、いじめや逸脱行動を起こすのを防止する

*被虐待児が親になったとき、自分の子どもへの虐待を繰り返さないように健康な親性を養う

*ファシリテーター自身もまた、このプログラムを通して自己洞察を深め援助者としての資質を高める

 

 

 

プログラムの実際

 

プログラムの基本構成

内容

決められたテーマに沿って、継続的にセッション(グループ・ミーティング)を実施

成長段階に応じたジャーナルを使用して話合いやグループワークを行う

ここで話されたことは「ここだけの話」として参加者の「安全な場」を保障しながら、参加者の人権と守秘義務を大切にする

 

対象

レインボウの参加者は、離婚や死別など家族の喪失のほか、さまざまな辛い体験をかかえている子どもたち(専門機関にかかるほどではない)

参加した子どもが専門的な治療を必要としている場合には、コーディネーターに

相談して適切な治療が受けられるように手配する

回数

グループ・ミーティングは全12回、毎週行い、6週間ずつ、2つのパートから成っている。個々のパートの終わりは、私をお祝する日(3~4時間)。お祝の日は、飲み物等を準備し楽しい会にする

 

人数

小・中学生 3~6人 グループに大人のファシリテーター1名が付添う

 

時間

1回のミーティングの長さは、30分~60分を目安として、子どもたちの年齢やサイトの事情など状況に応じた最もよい長さを決めて、毎回同じ時間割で行う

場所 

できるだけ同じ会場で行う。(個人ではなく、公共の施設)

                         

サポート・グループは、子どもの年齢や喪失体験の内容や状況などにもとづいて編成されます。

グループ・ミーティングでは、参加者一人に1冊ずつ与えられるジャーナル(心のノート)や、テーマと関連する絵本などをつかって、仲間と一緒に話し合ったり、アクテビティ(目的のあるあそび)をたのしみながら、それぞれのペースで自分の心に出会い、自分の気持ちをことばにすることを促進していきます。

 *身の上に起こったことを振り返り、絵やゲームによって体験を表現する機会を 設ける

 *現実を受け容れて、前向きに生きるとはどういうことなのか、理解できるように助ける

 *感情について理解し、適切な表現方法を身に付けることを手伝う

 *子どもたちの仲間意識を育てる

ファシリテーター

グループ・ミーテイングに付き添い、安全で安心な場をつくり、よい聴き手となり、

子どもたちが喪失に伴う感情を表現することができるようにサポートする重要な大人のボランティアです。

ファシリテーターは、子ども家庭リソースセンターの開催する『ファシリテーター・トレーニング』を受講し、レインボウ・コーディネーターと協力して活動します。

 

 

 

参加者の感想

プログラムの終了時に行っているアンケート調査の回答内容から、主な記述を抜粋したものです。

保育者の感想(子ども達の変化)

感情や要求を言葉で表現するようになった、仲間意識が育った、気持ちに余裕ができてきた、落ち着いてきた、表情が柔らかくなった、甘えるのが上手になった

 

ファシリテーターの感想

日本の子どもの厳しい現実に気がついた、活動終了後も手紙のやり取りなどをしている、

問題を起こす子どもを見る目が変わった、癒された、里親になることにした、元気をもらった、可愛かった、楽しかった

子ども達の人生の中で、つらい過去を整理できる機会になった

 

子ども達の感想

とっても楽しかった、もう1回やりたい、気持を正直に言えるようになった、穏やかになった、考えることが多くなった、

友だちを助けられるようになった、もう一度話をしたい、ファシリテーターさんに会えて楽しかった

 

 

 

 

ファシリテーター養成講座の実際

実施に際して必要な条件

・サイト(グループ・ミーティングを実施する場所)

・ファシリテーター(グループに付き添う大人のボランティア)

・コーディネーター(ファシリテーターの世話役、サイト責任者)など

 

ファシリテーターやコーディネーターの資格は、子ども家庭リソースセンターの開催する養成講座などを受講して取得できます。

 

★レインボウ・ファシリテーター(A)&コーディネーター(B)養成講座 ~喪失体験をかかえる子どもたちへの援助~      

(A):(定員)12名   (受講料)10,000円   (テキスト)5,000円

(B):(定員)12名   (受講料) 5,000円   (テキスト)2,000円

              

★プチ里親レインボウ・ボランティア養成講座

 児童養護施設専用プログラム。施設からの要望に応じて随時開催

 

★出張養成講座(児童養護施設向け講座、一般向け講座)

 プログラムを実施予定のあるサイト(実施先)の要望に応じて随時開催

 実施先が未定の場合、受講希望者6名以上に対して随時開催

(詳細は事務局にご相談ください)

 

★入門講座、フォローアップ研修など

 随時開催

 

レインボウは心理学・医学等の専門家によって作成された枠組みのしっかりした優れたプログラムです。グリーフ(悲嘆)のプロセスを安全にすすめながら、発達年齢に相応しい成長を促進できるように構成されています。

養成講座では、喪失をかかえる子どもや保護者をどのように理解し援助するのかなど、実際に役立つ理論と技法を学びます。子育て支援者、保育者、教育・児童福祉関係者など、子どもに関わる多くの方々に学んでいただき、実践の場で活用していただきたいとおもいます。

認定ファシリテーターまでの流れ

 

資格取得

資格取得後は当センターのレインボウ会員として登録され、子ども家庭リソースセンターとの連携をとって活動していただけます。

活動中は担当コーディネーターがサポートします。

 

レインボウ・ファシリテーターの会

養成講座修了後のサポート体制の一環としてファシリテーター有志を中心に2015年に発足し、月1回定期的に開催されています。

日本の実情に適ったよい実践ができるようレインボウ研究をすすめながら試行的な実践にも取り組んでいます。現在、高校生版のレインボウ・ブリーフセッションの作成に向けて、児童養護施設と連携して活動しています。

 

 

 

テキスト紹介

*ファシリテーター・リスニング・モジュール(レインボウの理念と手法) 

*ファシリテーター・コンポーネント・モジュール(レインボウ実践ガイド)

*コーディネーター・マニュアル

*レインボウ・ジャーナル  (子ども用テキスト)              

 

 

 

 

 

 

 

 

 

*レインボウ絵本 (5冊セット)

 

*シングル・シンフォニー(ひとり親のための心のガイド) スージー・Y・マルタ著 

期待される効果
レインボウプログラムテキスト
ファシリテーター養成講座の実際
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プログラムの実際
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